猫の尾にできた腫瘍です。
この細い尾に対してこれだけ大きい腫瘍(最終的な病理診断では毛芽腫(基底細胞腫)でした)ができています。
まともに切除→縫合してしまったら縫合部がキツすぎて、術後、オペ部位より先端が血行障害を起こし間違いなく断尾・・・・の運命です。
そこで、切除部位の両端だけ縫合し(上段、中央)、残りのほとんどは開放創のままハイドロコロイドでウエットドレッシング(湿潤療法)です(二段目、左)。
二段目中央が術後4日目。まだぜんぜん肉芽は盛っていません。
二段目右が術後10日目。少し肉芽が盛り、穴が埋まってきました。
三段目左が17日目。一気に治癒が進行しました。上皮化終了まであとわずかです。
三段目中央が20日目。他の猫がいたずらしてテープを取ってしまいました。この時点でほぼ終了です。(飼主さんがお医者さんだったのであとは任せてしまいました)
というわけで創傷治癒の治癒過程をお見せしました。こうやってお見せすると、「ただハイドロコロイドを使ってウエットドレッシングしただけじゃん」って思われるかもしれませんが、かなり省略して紹介してあると思って下さい。実はちょっとしたポイントがたくさんあって・・・全部書くのは面倒くさいので省略しました。
現在、人の創傷治癒の主流はウエットドレッシング(湿潤療法)です。昔からやられてきた消毒、ガーゼ、かさぶたは「悪」とされつつあります(未だに消毒、ガーゼ一辺倒の先生もたくさんいらっしゃいますが・・・)。ただし、動物の場合人間とは色々と条件が異なり、ウエットドレッシングが不適応になる場合も多々ありますし、「縫った方が早く治る」なんてことも多いので、「適材適所」を心がけて治療していくのがよろしいかと。